職人たちの道具入れ

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職人が、現場で使う道具を入れた腰に巻いた道具入れを「腰袋」と呼び、腰袋に入れて持ち歩く道具類のことを「腰道具」と呼びます。

各々、自分の道具は経験や専門によって違いますが、主に、電動ドリル、電動ドリルの替え刃、丸ノコ、玄翁(金槌)、カッター、スケール、水平器などなど、かなりの重さになることもあります。

 

お仕事中の職人の皆様の腰袋を激写しました!

 

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大工道具に限らず、様々な分野で技術は進化しています。

弊社社長に、新旧の大工道具の変遷について聞いてみました。

 

替え刃式の鉋(かんな)など、便利なものが増えた一方、自分が身に着けてきた方法で、後進に技を伝えることが難しい時代になったといいます。

 

最近は、研ぎものがだんだん減ってきました。

研ぎものに裏表があるように、人や生き方、仕事にも裏表のあることを身をもって知ってきた自分が、「手の感覚」で覚えなくてはならないこと、理屈ではなく体で覚えるためには数をこなしていくことが必要であるということなど、頭で教えられないことを伝承していく難しさを感じているといいます。

若い人は、道具が使えない・・・道具の使い方を知らない・・・

しかし、その一方で、機械の使い方はうまいのは、若い人たちだとも。

 

「指(さ)し物は昔からの研ぎものでないとできない」と憂える理由は、

大工としての腕の目安に、刃物の研ぎの善し悪しを吟味できること・・・。

それが大工の力量と称されるからです。

 

指し物とは、釘や接着剤などの接合材料を使わず、木と木を組み合わせることによって組み立てられる木工のことをいいます。

小箱からタンスのような大きな家具まで、その名の通り、物指しで測ってピッタリと歪みなく作られたもの。

釘を使わないのにキッチリ。
そして、修理の際は職人が金槌でトントンと叩くだけですぐに外れます。

間違いのない精密さの技術なのです。

指し物といえば、大阪の唐木指物、京都の京指物、東京の江戸指物が三大流派といわれています。

 

指し物に使う造作鑿(のみ)は12本の種類があります。干支と同じ数なので、干支の絵が入っているものもあるそうです。

鑿には、叩いたり、押したりして使用するものがあったり、種類も、叩き鑿、厚のみ、造作鑿、追入れ鑿、平鑿、透き鑿、丸鑿等々・・・

いかに鑿が大工にとって大事な道具かお分かりでしょう。

 

道具は、伝承するもので、伝統になるべきものではないのかもしれません。

若い職人たちの道具が機械化されてきた今も、やがて、古き良き・・・と呼ばれる道具になるのでしょう。

 

しかし、変わらぬもの、変えてはならないものとして、先人から後進に伝えていく職人の魂だけは守り続けていきたいものです。

弊社社長は、若い職人たちに、失敗も含めたチャンスを与えていきたいといいます。

それは、自分が多くの失敗を重ねることで、自信ある技術を身につけてきた「理屈ではなく体で覚えるためには数をこなす」経験を、
若い職人たちにチャンスを与えることで、彼らが樹木のように年輪を重ねた際、次の後進たちに、同じようにチャンスを与えることのできる人間に育ってもらいたいから。

 

高所で使う腰袋を装備した若い職人たちに声をかける時には、

「上から道具が落ちたら危ないからな。道具を入れる腰袋も、指し物のようにきっちりつけなさいよ」

といいます。

弊社の仕事をともに行う職人たちには、常に真剣に仕事に向き合うことを伝えております。

 

短い映像ですが、若い職人たちに期待する弊社社長の言葉の裏を読み取っていただけましたら幸いです。

 

 

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